Mother of the Origins witch
『幸せの結晶』 歌：葉月なの
今日も遅くなってごめんなさい。真里亞。
真里亞おねえちゃんは愛されていなかった。
夢の終わりを追いかけるように
どうしたの？大丈夫、重くないわ。ママのお膝にお座りなさい。
それはおねえちゃんの日記を読めばわかる。
貴方の面影、ずっと離さないように紙に書く。
どうしたの？さみしかったの？
おねえちゃんの日記には楼座おばさんへの恨み言が見て取れる。
今はあなたの笑顔が少しだけ霞む。
え？旅行？行ってないわよ。電車の切符の半券？
夜遅くまでの放置。
震えてアルバム開き、笑顔を焼きつけてごめん、と言った。
………そうね。今度のお休みにママと電車に乗りましょう。
泊りがけで男と旅行。
「私、君と生きていくよ。針の止まった時計の中で」
真里亞が切符を持ってちょうだい。目的地につくまで。
愛しているならこんなことできるはずがない。
涙が落ちたら、君の声が聞こえてきた。
そして駅に着いたら駅員さんに「はい」って渡してちょうだい。
真里亞おねえちゃんは母に愛されていなかった。
「なんで泣くの？ どこか痛むの？
あたま撫でたら笑ってくれる？」
真里亞。電車の切符には半券はないし、電車を降りたら駅員さんに返すの。
何も責めずに優しい声で、いつまでそこにいるの、と言った。
あなたが見たあの切符は使わなかった切符。
私が泣くと悲しいんだと、自分勝手にわがまま言って、
あなたのために切符を使うご用事はやめて急いで帰って来たのよ。
泣かないでよ、と悲しい声で頬を撫でてくれた、夢。
今度一緒にお出かけしましょう。切符の使い方、教えてあげる。
泣いちゃ駄目か、泣きつつ聞いた。
聞いて、今日いいことがあったの。会社の人にママのデザインほめられちゃった。
泣いちゃ駄目だとあなたも泣いて、
ほめられたのはあなたの大事なさくたろうよ。今度あれを商品化することになったの。
僕が守ると震えて立って、大丈夫だよと言った。
「社長は娘さんに作ってあげる物の方がいいデザインです」ですって。
「なんで泣くの？ どこか痛むの？
あたま撫でたら笑ってくれる？」
真里亞！童貞なんて言葉どこで覚えてきたの？！テレビ？！遅くまでテレビは駄目って…
何も責めずに優しい声で、いつまでそこにいるの、と言った。
ごめんなさい。遅くまでさびしくさせていたのはママだったわね。
あなたの心、傷つけぬようにもう大丈夫と笑顔で言った。
……寝たわね。窓際のおまじないにアメを置いておくわね。おやすみなさい。真里亞。
あなたも…笑顔でありますように…。
「生まれてきてくれてありがとう」
「生んでくれてありがとう」
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今回の作品について少々。
今回引用した詩はうみねこの音楽でおなじみdaiさんのCD『生まれてきてくれてありがとう』から『幸せの結晶』です。
うみねこの作中では楼座と真里亞の関係がかかれています。
特にＥＰ４での書かれ方は楼座が真里亞を虐待しているようにも見えますね。
ですが、それは本当でしょうか？
ＥＰ４での描写は真里亞の日記を読んだ縁寿の感想が強く影響しています。
実際の親子関係はどうだったのでしょうか？
私は楼座の母親の愛を信じます。
時折発せられる「愛しているわ。真里亞」の言葉を信じます。
そして、それを信じられたのは、daiさんの『生まれてきてくれてありがとう』に収録されている愛のあふれる曲の数々のおかげです。
縁寿自身が言っています。
「愛とは多角的なものの見方」だと。
見方によっては楼座に愛はあるんだということをお伝えしたくてこの作品を作りました。
これを読んでくださった方に少しでも伝えられれば幸いです。
一つ謝罪を。
今回歌詞を引用いたしましたが、黒字で書いたはずなのですが何故か金色になってしまいます。
あなたのディスプレイではどのように視えられるでしょうか。
