Here is a witch's heart

07th Expantion様の「なく頃に」シリーズの考察を行っています。たまにブラウザゲーム「政剣マニフェスティア」についても言及するかもしれません。

"Dogma of the golden witch"の紹介

鳥居角助さんのうみねこ偽書
Follower of the golden witchのEpisode 2にあたる
"Dogma of the golden witch"
が公開されました。

前作の”Ruin of the golden witch”と併せてお楽しみください。

 鳥居角助さんのFollower of the golden witchは全3部作の偽書
EP8後の黄金郷での六軒島に何者かがベアトのゲーム盤を開き縁寿は再び魔女のゲームを観戦させられる…と言うあらすじ。
 3部作とは言え、それぞれ解答を含めた独立したゲームになっておりますので、完結を待たずにすぐに読み進めてOK。

 以下はネタバレありの感想・考察です。

 前作の”Ruin”の時もそうでしたが、今回の”Dogma”もうみねこを取り囲む考察界隈を上手に物語に取り込んでいます。
山羊たちの描写が考察者たちに被り、この物語はリアルに活動している考察者とかつて考察していた者たちへの叱咤激励と私は受け取っています。
 物語の序盤で山羊たちが赤や青を投げ合うシーンがありますが、私はこれがひどくうらやましく見えました。
 私もTwitterで考察を投稿し、ありがたいことにいいねなどをいただきますが、残念なことに反論などはあまりいただけない。
 私はベアトに青を投げまくっているわけですが、ささりっぱなしやぞ。誰か助けてあげてください。
 誰かあの山羊たちのように私を否定してください。あ、でもなるべく優しくおねがいします。

 終盤の獅子から逃げ出さない山羊たちの気持ちめっちゃ分かる。目の前にサンドバッグがあるなら叩くでしょ。
例えサンドバッグが反撃してくるとしても。
読みながら、うちの黒山羊も確かにあそこに一緒にいました。
考察に飢えた山羊はもっと声をあげましょ。お腹空いたって。


 ここからは物語のトリックに触れますので未読の方は回れ右。

 今回導入されたオリジナルのルール赫字(読みは『かくじ』でいいのかな?)ですが、ほめて。
くせ毛の山羊程度の考察は初見余裕でした。
あ、物語が重なっているな。だからぼやけて見えているなとすぐに思い当たりました。
元々自分が複数解説論者のおかげですけども。

 今回の赫色のルールですが、これはうみねこ本編に十分通じるものなんです。
『我らの告白』でドラノールはベアトは3つの物語を書いていると述べています。
 『我らの告白』では犯人側の視点、つまり解答側の物語が書かれていました。
これをベアトの言う修飾をしたのものが私たちが目にするべき問題側の物語となります。
 赫色ルールですが、これは解答側の物語を二つ用意することによって成立するルールです。
私たちが読んだ問題側の物語が一つ。そして用意された解答側の物語が二つ。併せて3つの物語。
 うみねこ本編とちがうところは、赫字は殺された人間がちがうなど二つの物語の見える部分に差異があり、そのため赤字がぼけて赫字になった点です。
 しかし、うみねこ本編は二つの物語の見える部分に差異がない。同じ条件で同じ人物が殺されている物語です。なのでボケずに同じ赤字を共有できている。

 で、”Dogma”の二つの物語ですが、物語が重なっていて、その一つは周知の人格説であると言うことが劇中で示されています。
しかし、もう一つの物語のトリックはなにげにスルーされてしまっています。
これが読者に残された読後のお楽しみ。

 私の場合自説の死体行動説でまずは解こうとします。
死体行動説の場合、アリバイや密室、共犯はどうにでもできるので、どうやって殺して状況を作ったかよりも、死体が行動することを立証できるかどうかの方が問題になります。
 ”Dogma”の場合、まずは4章の苦院寺庵にて『悪霊による肉体操作説』が紹介されています。
この時点でゲームマスターベアトリクスが『悪霊による肉体操作』を認識していることがわかります。
 そしてその後13章の六軒島で真里亞や譲治が悪食島の悪霊を語る中に「死体が動く」が紛れ込んでますね。
この2点からこのベアトリクスのゲーム盤において『悪食島の悪霊によって死体が動く』と言うルールが設定されている可能性を指摘することができます。
 死体が動く可能性を指摘できれば後は簡単ですね。粉の上に死体を寝ころばせたり内鍵をかけたりやりたい放題です。

 ちなみにうみねこ本編では悪食島の悪霊の物語で「死体が動く」ことは明記されていません。
 紗音がEP2で瀕死の嘉音が動くのを見て悪食島の悪霊を思い出したと言う証言から、悪食島の悪霊は死体が動く話であると推察することはできます。
 なので、メタ推理になってしまいますが、真里亞と譲治の会話に「死体が動く」が出てきたと言うことは、作者は意図的に入れていると言うことになりますね。

 いよいよ次でFollower of the golden witch第3部完結となるか。
どのような結末になるか楽しみです。