Here is a witch's heart

07th Expantion様の「なく頃に」シリーズの考察を行っています。たまにブラウザゲーム「政剣マニフェスティア」についても言及するかもしれません。

死体行動説検証 EP1

死体行動説の検証を始めます。

前提条件は下の記事から。

*2018.7.30に下の記事に「金蔵について」を追記しました。

loosedogtom.hatenablog.com

・犯人と動機

 まずEP1の犯人とその動機を設定します。

 EP1発売直後に私は次のように考察しました

 「金蔵は殺される者はランダムと言っていたが、本当にランダムなら子供達のみが生き残るのはおかしい。犯人は特定の誰かを『殺したい』のではなく、子供たちを『生かしたい』のではないか?」

 今回はこの考察を採用します。

 犯人の目的は子供達の生存。または子供達以外の殺害です。

 

 そんなことができるのは誰か?

 これが可能なのは物語終盤で最後の親族となり、場を支配する権利を持った「夏妃」です。

 なので「夏妃」が犯人とします。

 

 なぜそんなことをするのか?

 夏妃は第一の晩が起こる前に蔵臼から右代宮家の金塊の実物を見せられ信用されていないと感じていました。

 また、それまでの右代宮家の財産をめぐって他の親族に対してのやり取りに疲れていました。

つまり、右代宮家の大人たちに絶望していたのです。

 そんな中で夏妃が碑文を解き、大量の金塊を手にすることができたらどうするでしょうか。

 少なくとも大人たちに渡そうとは思えないでしょう。

 子供たちになんとか金塊を渡そうと考えるはずです。

そこで出てくるのが右代宮家の大人皆殺しと言う発想。

しかし、片翼の鷲のエピソードからもわかるように、夏妃は右代宮家の名を大事にしています。

当然、使用人を含む右代宮家から殺人犯を出すなんて不名誉はできないでしょう。

殺人犯を特定されない「完全犯罪」を夏妃はめざします。

 

自分自身を含む右代宮家の大人たちを全て殺害する。事件後警察の捜査が入っても使用人を含む右代宮家から犯人を出さないため子供達以外全て殺害する、その際実在しないXが犯人になるようにする

 

 一見すると無茶に見えますが、それができるようになるものが黄金と共に夏妃に手渡されています。

 

以上が犯人と動機とします。

 

・第一の晩

 蔵臼から金塊を隠されていたことを知り、絶望した夏妃は自室に戻ります。

その後お金があればこんな苦労で頭を痛めることもないのにと、碑文を解きに動きました。

その結果碑文の解読に成功した夏妃は黄金を手に入れ、その際に金蔵と再会することができました。

 夏妃は黄金の使い方を金蔵に問われ先述の動機を伝えます。

 右代宮家のために自分自身の命も捧げるとした夏妃に金蔵は協力します。

 

 まず初めに嘉音と源治を外傷の無いように殺害します。

二人を呼び出して金蔵の薬で薬殺などが想定されます。

そして二人を行動させ共犯者にします。

 嘉音、源治、金蔵と共に第一の晩を実行。

犯人像をベアトリーチェを狂信する異常者に見せるために、碑文をなぞり、顔面を削って、魔方陣を書き異常性を出します。

また、夏妃が疑われにくいようドアに犯人の痕跡をつけて夏妃は被害者側に見えるようにしました。

 

・第二の晩

 実行者は金蔵。

金蔵ならば部屋にこもった絵羽達でも部屋の中に招き入れるでしょう。

そこで持参したワインなどで二人を薬殺。

二人の死体を行動させ、普通に過ごした後適当な時間に杭によって死体に戻る様に命令をします。

 これで密室で抵抗の跡なく杭を眉間に打ち込んだ死体二体のできあがりです。

もちろんチェーンは二人にかけさせます。

その後源治、嘉音と口裏を合わせ金蔵が扉に魔方陣を書き異常性を演出。

 

・第三、四の晩

 ここまで金蔵は犯人たち以外の他人に姿を見せていません。

 一応生きていると言うことになっているので、このままでは疑われてしまうおそれがあります。

 そこで第四の晩に金蔵は退場。杭を刺した後、荼毘にふされます。

 

・第五の晩

 今後も嘉音には殺人の手伝いをしてもらいたいのですが、後に残れば残るほど犯人として疑われる恐れが強くなります。

なのでここで嘉音にも退場してもらいます。

 ボイラー室で独り芝居をし、他に人間がいるように降りてくる人間に思わせます。

碑文をなぞるために杭は出しておきますが、ささってはいません。

嘉音は死んだふり。…と、言うか実際に死んでいるので南条の検死も普通に通ります。

 嘉音の死体を置いた部屋からだれもいなくなったら嘉音は行動を再開します。

 

第六、七、八の晩

 全員で金蔵の部屋に籠城。

突然現れる手紙は夏妃があらかじめ用意しておいて自分で出したもの。

この状況で夏妃がやったのでは?と言える立場のものはいないでしょう。

その状況を使って、真里亞、源治、熊沢、南条を部屋から追い出します。

源治が夏妃に渡したマスターキーのうち一本はフェイク。

本物は部屋を移る途中で落とすなどして嘉音に渡します。

 

そして嘉音は適当な変装をして三人を殺しに行きます。

源治から渡されたマスターキーで部屋を開けて中に入ります。

 

真里亞に自分がベアトリーチェであると告げ、後ろを向いて歌を歌わせます。

南条、熊沢を殺して内線をかけ嘉音は退室。

源治は内側から施錠をしっかり行い、自分も死体に戻ります。

 

 夏妃が真里亞も一緒に追い出したのは犯人を目撃させるため。

「誰かが中に入ってきた」と真里亞が証言してくれれば存在しない犯人Xのできあがりです。

もしも、声などで変装がばれたとしても朱志香と譲治が嘉音を看取っていますので

幼い真里亞の言うことと整合性を取ろうとすれば「嘉音に変装した誰か」が来たことになるでしょう。

 

肖像画の前 夏妃

 あとは夏妃の贖罪です。

 嘉音に自分を撃たせておしまい。

 嘉音は第五の晩で安置された部屋に戻ります。

 硝煙反応や弾痕などから夏妃が自殺したのではないことは警察が証明してくれるでしょう。

 これで実在しない犯人Xの存在が強まります。

 

 嘉音が夏妃を撃つ前に黄金を置いた部屋まで行く通路を開けておけば、警察が黄金を見つけてくれます。

 生き残った子供たちは実際に犯罪を犯してはいないのですから、疑われることはあっても最終的にこれまで作り上げた犯人Xの仕業になるでしょう。

 そして黄金は子供達へ。どうか愚かな大人の代わりに有効に使ってください…。

 

・金蔵と夏妃

 死体行動説によりこのパターンで金蔵と夏妃が再開することができます。

 夏妃の「心の片翼の鷲エピソード」がヱリカによってクソゲロだの妄想だのと否定されていましたが、これによって夏妃の妄想ではなく実際にあったことにできるのです。

ベルンが「夏妃。金蔵があんたの心に、片翼の鷲を刻むことを、いつ許したっての?あんたの妄想の中の金蔵の言葉でしょうが、それは。……本当の金蔵はね。生涯、ただの一度も!あんたを心の底から信頼したこともないし、あんたに紋章を許そうと思ったことも、ただの一度もないわ!」と赤字で宣言していますが、これも金蔵の生涯でのお話。

金蔵の生涯はすでに終わっていますので、やはり「心の片翼の鷲エピソード」は有効になります。

 「心の片翼の鷲エピソード」は好きな場面なので否定されたくないんですよね。

 

・夏妃の母心

 ここまで死体行動説を基にしてEP1の解釈をしてきましたが、私としては疑問が一点あります。

 夏妃は碑文を解き、右代宮家頭首として一貫した行動をとらせたつもりですが、夏妃は「頭首」であると同時に「母」でもあります。

譲治や戦人などもう大きくなった子供はともかく、幼い真里亞から「母」を奪うような行動を取るのでしょうか??

また、幼い子供に殺人を目撃してしまうような真似をするのでしょうか??

「母」としての自分よりも「頭首」を代行させた夏妃の決意と言ってしまえばそれまでですが、少し飲みこみにくい。

はなはだ疑問です。

 実はこの疑問すでに解決しています。

検証が一通り終わったら記事にします。