なぜ金蔵は祠を修復したのか
「なぜ紗音は「悪食島の悪霊」の名前を挙げたのか」の続きになります。
さて、上記の記事で悪食島の悪霊のお話は「悪食島の悪霊に魂を喰らわれた者は死者となって戻り、人間を襲う」と言うストーリーだったのではないかと考察しました。
ところが、さらにその前に「なぜ海の中に祠が建っているのか」にて
なぜなら、もし悪食島の悪霊のお話がただの作り話や怪談だったらわざわざこんな手間をかけないからです。
手間をかけて祠を作り、霊鏡を安置し、維持する。
それだけの手間をかけると言うことは、それだけの手間をかけなければならないと思うようなことがあるわけで。
つまり、悪食島の悪霊のお話というものは、過去の六軒島…いや、悪食島で実際にあったことがモチーフになっていると考えられる訳です。
と、考察していました。
この二つの考察を合わせると「昔の悪食島ではゾンビが跳梁跋扈していた」と言うことになってしまいます。
マジでか。
まあ、普通はありえません。
二つの考察の内どちらかが間違えていることになります。
普通ならね。
しかし、六軒島には普通ではない人物が存在します。
それが「右代宮金蔵」です。
「なぜ金蔵は真里亞を嫌うのか」の考察で指摘した通り、金蔵にとってのベアトリーチェは人間の恋人であり、金蔵の目的は「亡くなった恋人に会いたい」というものです。
そんな彼に「死んだ人間が戻ってくる」なんて昔話を聞かせたらどうなるでしょうか?
間違いなく、その昔話が事実であったらと願うでしょう。
例えその結果、死者に襲われたとしても、むしろ贖罪として受け入れるかもしれません。
EP3にてベアトが戦人に金蔵に封じられた話をしています。
……それらは人間たちに害をなし、恐らく数々の不気味なる伝承を残してきたであろう。それを聞きつけた東洋魔術師が、古代に設けたのがあの祠なのだ。長い時間を経て、その力は失われておった。金蔵はそれを修復することで、島の結界を蘇らせ、妾を再び島に縛り付けたのだ。
この話、島の結界などはベアトの主張です。
本当かどうかは本人にしかわかりません。
しかし、この話の中で金蔵が祠を修復したと言うことは事実です。
ここら辺は前に「大石の話術」で考察したような流れになっている訳です。
では、なぜ金蔵は祠を修復したのでしょう?
ベアトの言う通り島の結界を蘇らせ、ベアトを縛り付けるため?
オカルト趣味をこじらせたから?
金蔵の行動原理の第一は人間である恋人 ベアトリーチェと再会することです。
何もない状態だったらベアトの話を信じてもよいのですが、今ここに六軒島では人がゾンビ化したかもと言う可能性がか細くもあるとしたら?
そう、金蔵は調査したのです。祠を。
クワドリオン分の1ほどもないかもしれない可能性を信じて。
そして、その結果、祠を修復した。
と、言うことはそこに何かを見つけて祠の必要性をもって修復したと言うことです。
では、何を見つけたのでしょう。
それは碑文にかかれています。
”全ての死者の魂を蘇らせ”
と。
金蔵は碑文を解いた者に自分の全てを譲ると約束しています。
大量の金塊はもちろんですが、死者を蘇らせると言う研究結果も価値としては莫大なものになります。
碑文を解いた者に譲られるにふさわしいでしょう。
この考察をもって
「六軒島には死者を蘇らせる方法が金蔵によってもたらされている」
とし、これを「真の魔女の心臓」と考え、
今後「死体行動説」を中心に考察していきます。